「ペット可賃貸」には二つのタイプがあります。
ひとつは、もともとの賃貸物件をペット可に条件を緩和した物件です。築年が古い、駅から遠いなどの理由で入居希望者を集めにくいため、ペットが飼えることを付加価値にしたものです。物件数はわりと多く賃料相場もそれほど高めではありません。中には、ペット可に変更するタイミングで、壁紙や床材をペット用にリフォームした物件もありますので確認しておきましょう。
もうひとつは、建築段階からペットとの暮らしを前提に建てられた「ペット共生住宅」といわれる物件です。賃料は通常のペット可と比較して割高になることが多く、物件数はまだまだ少ないです。
ドッグランやトリミングルームといった犬に特化した設備がある、室内の床や壁には傷や汚れに強い素材が使用されている、などペットと快適に暮らせる工夫が施されています。また、ペット専用出入口やペット同乗エレベーターを別に設け、ペットを飼育していない人との導線を分けることで、ペットが苦手な方にも配慮されています。
また、猫しか飼えない猫専用の賃貸物件もあります。床や壁は爪とぎに強い素材を使用し、壁にはキャットステップ、天井にはキャットウォーク、室内ドアにはくぐり抜けドアなど猫の習性に配慮した内装が随所に施されています。こうした猫専用賃貸物件は数が少なく、築年が経過しているにも関わらず絶えず空き待ちの状態で猫飼育者には人気のようです。
契約時に注意することは?
飼育可能なペット条件
「ペット可」であっても、飼育可能な種類、頭数、そのほかの規約など、前もって飼育できるペットの条件を詳細に確認しておくことが大切です。
一般的に、飼育できるペットの種類は、小型犬と猫のみ、飼育頭数は2頭まで、といった物件が大半です。中には、小型犬は「可」だが、猫は「不可」という賃貸物件もあるので、注意が必要です。
そのほか、狂犬病やその他ワクチンの接種、避妊去勢、飼育における基本的な注意事項などペットに関する規約がある場合は、すべてしっかりと確認しておきましょう。
初期費用
ペットを飼育する場合、通常の敷金とは別に1ヵ月分を多く預かり、退去時に返却しないことを契約条件としている物件が多いです。
ペット飼育の条件として預けたプラス一か月分の敷金が原状回復費用の一部に充当されるのか、それとも原状回復費用は別途通常の敷金から負担するのかなど、退去時の敷金の取り扱いについて、きちんと説明を受け理解しておきましょう。
また、入居途中でペット飼育が終了した場合、反対に、ペット飼育を新たに始めた場合の敷金の取扱いについても確認しておきましょう。
原状回復の費用負担
特にペット飼育では、後々トラブルとならないよう、退去時の原状回復の費用負担については契約時にしっかりと確認しておきたいです。
通常、原状回復に関する事項としては、経年劣化および借主が通常使用することで起こる損傷や消耗については借主の原状回復義務の対象から除かれることが契約書に記載されています。
ペット可賃貸では、その他特約事項等の項目に、原状回復義務の範囲として、ペットによる傷、汚れ、臭い等の修復費用を借主の負担とされているケースがあります。「通常使用による傷、汚れ、臭い」と「ペットによる傷、汚れ、臭い」の違いなど、わかりにくいことがあれば尋ねて理解しておくとよいでしょう。
また、鍵の引き渡しを受け家具を搬入する前には、必ず、部屋の内装や設備のチェックをしましょう。特に、壁や床の傷や汚れ、建具やドアの傷やへこみ、網戸の破れは十分にチェックし、もし損傷があれば、写真を撮り日付を記入して管理会社へ連絡しておきましょう。
ペット可賃貸の契約では、通常の賃貸契約と違った部分がありますので、契約時にしっかりと賃貸条件を確認し、わからないことは尋ねて理解しておくことは、後々のトラブルを回避し、安心してペットとの楽しい暮らしを送るためにはとても大切なことなのです。