建物は建築基準法を守って建てる必要があります。
建築基準法をごく簡単にいうと、人が安全で快適に暮らせるよう考えられたルールのこと。
建築基準法で定められた日影規制も、その考え方から定められています。
日影規制とはどういったもので、どんな点に気を付けるべきなのかみていきましょう。
日影規制とは、建築基準法で定められた、周囲の住宅にまったく日が当たらない状態を避けるための規制です。 1年でもっとも影が長くなる、冬至の日(例年12月21日ごろ)の8時から16時までの8時間(北海道は9時から15時までの6時間)に生じる日陰を制限しています。
たとえば、住宅が多い第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域の場合、軒高が7mを超えるもしくは3階以上ある建物は制限を受けるおそれがあるのです。
上記以外の用途地域は、高さが10mを超える建物が規制の対象となります。
日影規制の具体例としては3時間、2時間、1.5mのようなものが挙げられます。
最初の3時間ならびに2時間は、敷地境界線からの距離が5mから10mのところでは3時間までは日陰になっても良く、10m以上のところの日陰になる時間は2時間までという意味です。
最後の1.5mは、測定した地面からの高さを表します。 あくまで日陰になってしまう時間を制限しているのであって、日陰をつくってはいけないわけではありません。 不動産は、その土地の日影規制について把握したうえで購入しましょう。
日影規制で注意しなければいけないのは、必ずしも影にならないわけではない点と、建物を建てるときは階数と高さに注意するという点です。
建物を建てるときは、日影規制に基づいて設計されます。 そのため、隣に高い建物ができたとしても、ある程度の日照が期待できます。
しかし、常に日照が確保されるわけではありません。 先ほども紹介したように、低層住居専用地域は3時間以上影ができてはいけないと定められています。
つまり、1日のうち2時間半は影になっていても問題ないのです。 また、軒の高さ7mを超えない建物、または地階を除く階数が2階建ての建物であれば、3時間以上影になっていても問題ないことになります。 建物を建てるときは、建物の階数と高さに注意が必要です。 2階建てであれば基本的には日影規制を気にする必要はありませんが、天井を高くした住宅にすると軒の高さ7mを越えてしまう可能性があります。 日影規制を気にしないで建築できる地域に不動産を購入しても、隣地が住居用の地域だった場合は日影規制に注意しなければいけません。
購入する土地だけではなく、隣地についてもチェックする必要があるでしょう。 建築基準法で定められた日影規制だけではなく、自治体が定めた日影規制がある場合もあります。
まとめ
不動産を購入するときは、周囲の建物の日照を確保するための日影規制に注意しましょう。
場合によっては、ご自分が希望されたとおりの建物は建てられないかもしれません。
また場所によっては、十分な日当たりが確保されないケースもあることにご注意ください。